2025.06.04 体と心を見直す時間|すこやか毎日のタネ VOL.06 夏こそ入浴のススメ INDEX 夏に体の不調を引き起こすきっかけ 入浴で得られる健康効果 夏の入浴ポイント 夏になると、「なんとなく体調がすぐれない」「食欲がわかない」「暑いのに手や足は冷える」「疲れているのによく眠れない」など、なにかしら不調を感じる方が多いのではないでしょうか。いずれも夏特有の環境や生活習慣がきっかけとなり、私たちの体に不調があらわれやすくなるんです。 そんな時期だからこそ、入浴し湯船に浸かって体を温めることをおすすめします。暑い日は「これ以上、汗をかきたくない」「手軽にさっぱりしたい」と湯船に浸からずシャワーで済ませる人もいると思いますが、入浴で得られる健康効果はてきめん。夏を健やかに乗り切れるよう、湯船に浸かる習慣をつくってみましょう。 夏に体の不調を引き起こすきっかけ 室内外の大きい温度差による 自律神経の乱れ 室内外の温度差が5℃以上になると、自律神経が乱れやすくなります。 汗を大量にかくことによる 水分不足 発汗すると体の水分だけでなく、同時に塩分やミネラルも失っています。 冷たいものの摂りすぎや冷房の効きすぎによる 体の冷え 薄着で冷房の利いた場所に長くいることが多いため、寒い季節に比べて冷えやすい場合も。 夜も気温が高いことによる 睡眠不足 気温が高いと手足からの放熱が妨げられ、深部体温が下がらずに寝付きが悪くなりがちです。 入浴で得られる健康効果 入浴の効果をアップさせるためのポイントをご紹介します。 ① むくみの改善 湯船に浸かると体全体に水圧がかかり、体の表面だけでなく皮下の血管にも圧力が加わります。その圧力によって、手足などの末端の血液が心臓へと押し戻され血行が促進し、むくみが改善されるのです。 ② 睡眠の質の改善 38℃程度のぬるめのお湯にゆったり浸かれば、副交感神経が優位になって緊張がほぐれリラックスした状態に。さらに、深部体温が一時的に上がることで、その後のスムーズな入眠へつながります。 ③ 血流改善 体が温まることで血管が拡張し血流が改善します。全身のすみずみにまで血液が行き渡り新陳代謝がアップします。さらに、血流の改善は夏バテの原因の一つとされている「体の冷え」にも効果的です。 ④ 疲れのもとの除去 体が温まって血行がよくなると、体に溜まっていた疲労物質や老廃物が汗として排出されやすくなります。また、神経痛など慢性的な痛みや筋肉の収縮による肩こりをほぐす効果も期待できます。 夏の入浴ポイント point1お湯の温度は38℃程度から 体温よりはやや高く、お風呂としてはぬるめの38℃程度のお湯に20分くらいゆっくりと浸かると、夏の不調に効果的です。気分をすっきりさせたいなら41〜42℃のやや熱めで短めに。体調や気分に合わせて調整してみましょう。 point2入浴剤は「炭酸ガス系」を 夏は泡が出る「炭酸ガス系」の入浴剤がおすすめ。炭酸ガスには血管を拡張させ血流量を増やす作用があるため、お湯の温度が低くても効率よく血流を改善する効果が期待できます。 point3シャワーですませたい時は お湯が張るのを待つのが億劫な日は、バスタブや大きめの洗面器にくるぶしがつかる程度までお湯を張って、足湯をしながらシャワーを浴びましょう。シャワーだけでは得られない温熱効果によって、疲れがより取れやすくなります。 入浴する前にコップ1~2杯分(150~300ml)の水分を摂りましょう 入浴後も必ず水分補給をしてください(汗の成分に近いイオン飲料もおすすめ) 熱中症予防のため、窓や換気扇を使って浴室の空気を入れ替えましょう 暑い毎日が続く中、疲れが抜けない時やリラックスしたい時は、ぜひゆっくりと湯船に浸かってみてください。きっと、すっきりした気分で1日を終えることができると思いますよ。 早坂 信哉 先生 東京都市大学 人間科学部教授温泉療法専門医 博士(医学)。日本健康開発財団温泉医科学研究所所長、日本銭湯文化協会理事、日本入浴協会理事。生活習慣としての入浴を医学的に研究する第一人者。
2025.06.04 体と心を見直す時間|すこやか毎日のタネ VOL.06 夏こそ入浴のススメ INDEX 夏に体の不調を引き起こすきっかけ 入浴で得られる健康効果 夏の入浴ポイント 夏になると、「なんとなく体調がすぐれない」「食欲がわかない」「暑いのに手や足は冷える」「疲れているのによく眠れない」など、なにかしら不調を感じる方が多いのではないでしょうか。いずれも夏特有の環境や生活習慣がきっかけとなり、私たちの体に不調があらわれやすくなるんです。 そんな時期だからこそ、入浴し湯船に浸かって体を温めることをおすすめします。暑い日は「これ以上、汗をかきたくない」「手軽にさっぱりしたい」と湯船に浸からずシャワーで済ませる人もいると思いますが、入浴で得られる健康効果はてきめん。夏を健やかに乗り切れるよう、湯船に浸かる習慣をつくってみましょう。 夏に体の不調を引き起こすきっかけ 室内外の大きい温度差による 自律神経の乱れ 室内外の温度差が5℃以上になると、自律神経が乱れやすくなります。 汗を大量にかくことによる 水分不足 発汗すると体の水分だけでなく、同時に塩分やミネラルも失っています。 冷たいものの摂りすぎや冷房の効きすぎによる 体の冷え 薄着で冷房の利いた場所に長くいることが多いため、寒い季節に比べて冷えやすい場合も。 夜も気温が高いことによる 睡眠不足 気温が高いと手足からの放熱が妨げられ、深部体温が下がらずに寝付きが悪くなりがちです。 入浴で得られる健康効果 入浴の効果をアップさせるためのポイントをご紹介します。 ① むくみの改善 湯船に浸かると体全体に水圧がかかり、体の表面だけでなく皮下の血管にも圧力が加わります。その圧力によって、手足などの末端の血液が心臓へと押し戻され血行が促進し、むくみが改善されるのです。 ② 睡眠の質の改善 38℃程度のぬるめのお湯にゆったり浸かれば、副交感神経が優位になって緊張がほぐれリラックスした状態に。さらに、深部体温が一時的に上がることで、その後のスムーズな入眠へつながります。 ③ 血流改善 体が温まることで血管が拡張し血流が改善します。全身のすみずみにまで血液が行き渡り新陳代謝がアップします。さらに、血流の改善は夏バテの原因の一つとされている「体の冷え」にも効果的です。 ④ 疲れのもとの除去 体が温まって血行がよくなると、体に溜まっていた疲労物質や老廃物が汗として排出されやすくなります。また、神経痛など慢性的な痛みや筋肉の収縮による肩こりをほぐす効果も期待できます。 夏の入浴ポイント point1お湯の温度は38℃程度から 体温よりはやや高く、お風呂としてはぬるめの38℃程度のお湯に20分くらいゆっくりと浸かると、夏の不調に効果的です。気分をすっきりさせたいなら41〜42℃のやや熱めで短めに。体調や気分に合わせて調整してみましょう。 point2入浴剤は「炭酸ガス系」を 夏は泡が出る「炭酸ガス系」の入浴剤がおすすめ。炭酸ガスには血管を拡張させ血流量を増やす作用があるため、お湯の温度が低くても効率よく血流を改善する効果が期待できます。 point3シャワーですませたい時は お湯が張るのを待つのが億劫な日は、バスタブや大きめの洗面器にくるぶしがつかる程度までお湯を張って、足湯をしながらシャワーを浴びましょう。シャワーだけでは得られない温熱効果によって、疲れがより取れやすくなります。 入浴する前にコップ1~2杯分(150~300ml)の水分を摂りましょう 入浴後も必ず水分補給をしてください(汗の成分に近いイオン飲料もおすすめ) 熱中症予防のため、窓や換気扇を使って浴室の空気を入れ替えましょう 暑い毎日が続く中、疲れが抜けない時やリラックスしたい時は、ぜひゆっくりと湯船に浸かってみてください。きっと、すっきりした気分で1日を終えることができると思いますよ。 早坂 信哉 先生 東京都市大学 人間科学部教授温泉療法専門医 博士(医学)。日本健康開発財団温泉医科学研究所所長、日本銭湯文化協会理事、日本入浴協会理事。生活習慣としての入浴を医学的に研究する第一人者。